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将来受け取る年金の額を計算して、積立投資が必要なことを理解しよう

私は社会保険労務士という資格を持っています。これは「年金に関するただひとつの国家資格」なので、私は「年金はいくらもらえるの?」「いつからもらえるの?」のような質問をよく受けます。

このとき質問をくれた方に、「国民年金と厚生年金、どちらに入ってるの?企業年金は加入しているの?」と聞いていますが、ほとんどの方が「どういうことだろう・・」という顔をされます。

このように、自分が加入している年金制度を理解している人は少ないのです。

年金の制度には種類があり、職業や年齢によって加入するものが異なります。そしてその制度ごとで、将来受け取れる年金の額も違います。

年金の仕組みは、学校で教えてくれません。そのため多くの人は年金について理解せず、会社任せにしがちです。「老後に受け取れる年金はこれから減るといわれているけれど、たぶん大丈夫だろう」「国が何とかしてくれるだろう」のように思っている人が多いのです。

ですがこれは、大きな間違い!

年金は、自分できちんと勉強する必要があります。

ここでは老後資金を準備するための基礎知識として、日本の「年金制度」を解説します。また、「将来受け取る年金額の計算・確認方法」も紹介します。

年金について理解すると、積立投資をする必要があることもわかるはずですよ。

ちなみに一般的な年金は、正しくいうと「公的年金」です。ここでは「年金=公的年金」として話を進めます。

伊藤くん、将来もらえる年金のことって考えてる?

うーん、あまり考えてないですね(汗)というか、「よくわからない」っていうのが正直なところです。

僕の世代は「老後にもらえる年金はたぶん少ない」っていうのはよく聞くけど、それくらいしか知らないんですよね。考えてみれば、「国民年金」と「厚生年金」っていうのも、何が違うのかよくわからないです。マズイですかね?

伊藤くんは会社勤めだから、年金の手続きは会社がやってくれてるわよね。この状態だと、年金についてあまり知らないのも仕方ないのよ。

でもこれからの老後を考えるなら、「年金の仕組み」や「年金でいくらもらえそうなのか」を知っておくのは大切!そこでわかった足りない分を、つみたてNISAで補えばいいの。

なるほど〜、年金について勉強したくなってきました!

Contents

まずは年金の現状を理解しよう

まずはこれからの話を理解するために、年金の現状を知っておきましょう。

日本は昭和36年(1961年)に「国民皆年金(こくみんかいねんきん)」という体制が整い、20歳以上60歳未満の人が年金制度に加入しています。

年金制度がなかった昔の人たちは、家族で高齢者の世話をしていました。これを「私的扶養」といいます。この頃はおじいさん・おばあさん・お父さん・お母さん・子どもが一緒に住んでいたり、近くに住んでいたりという形が一般的でした。

この頃の日本は若い人が多く、家族で子どもやお年寄りの面倒を見ることができました。また、家族が離れて住んでいる場合は、若い人が両親に仕送りなどをしていました。

ですが現代は夫婦や親子だけで住む「核家族化」が進み、「若い人が親を養う」というこれまでの仕組みが成り立たなくなりました。そこで20〜59歳の世代が国に「年金保険料」を納め、政府が高齢者へ年金を支給するようになりました。これが「社会的扶養」という制度です。

戦後間もない1950年代の日本は、65歳以上の人は全体の5%くらいしかいませんでした。つまり100人の人がいたら、65歳以上の人は5〜6人しかいなかったのです。

今の年金制度はこの1950年からの制度をそのまま引き継いでいて、「若者がお年寄りを支える」という考えがベースになっています。

下の図は内閣府の「平成28年版 高齢社会白書」という資料による、「高齢化率」のグラフです。「全人口のうち、65歳以上がどれくらいいるか」を示しています。

出典「平成28年度高齢社会白書」(内閣府)

国連(国際連合)は高齢化率が7%を超える場合を「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」としています。さらに21%を超える場合を「超高齢社会」と呼んでいます。

大阪万博があった1970年、日本は高齢化率が7.1%の「高齢化社会」になりました。そして1995年には高齢化率が14.6%の「高齢社会」になりました。

そして平成27年(2015年)の高齢化率は26.7%で、ナント超高齢社会の水準をとっくに超えてしまいました。今の日本は「4人に1人が高齢者」という状況で、高齢化が急速に進んでいるのです。

また、東京オリンピックが開催される2020年には高齢化率が29.1%になることが予想されていて、「3人に1人が高齢者」となる可能性が高いです。

年金制度が始まった頃の日本政府は、ここまで早く超高齢社会に突入すると思っていなかったのでしょう。

財務省はホームページ上で、「2025年には20〜64歳の人1.8人で、65歳以上の高齢者1人を支えることになる」と発表しています。つまり若い人2人で、1人の高齢者を支えないといけないのです。

時代は変わりました。今の日本の年金制度は若い人が多いときに作られたものであり、現代のような超高齢社会にマッチした制度ではありません。

現実的に考えると、「老後のために、年金以外の収入を確保しておくこと」が大切なのです

「日本は高齢化が進んでいて、若い人が高齢者を支えるのが難しくなってきている」っていうのは聞いたことがありました。でも数字で見ると、本当に厳しい状況なんですね(汗)

そうなのよ。こうして「これからの年金は期待できないかも」とリアルに感じると、資産形成を始める気持ちも湧きやすくなるわよね。ちゃんと現状を分析すると、対策方法もわかるのよ。

ホントですね!僕も「やっぱりつみたてNISAは必要だなって、心の中で思いました」かづな先生!スゴイです!

年金は原則65歳から支払われるが、将来的にもっと遅くなる可能性大

誰でも知っているアニメ「サザエさん」は、昭和44年(1969年)にスタートしました。サザエさんのお父さんである「波平さん」は、何歳の設定かご存じですか?

波平さんは、放映開始からずっと「54歳」です。これは当時の「定年退職前」にあたる年齢。その頃の定年退職は、55歳が一般的でした。

時代は変わり、定年退職は60歳からになりました。そして平成25年(2013年)には「改正高齢者雇用安定法」という法律が成立し、定年が65歳の会社も増えています。明らかに昔とは状況が違ってきています。

定年の年齢が引き上げられると、年金を受け取り始める年齢も上がることが予想されます。

そもそも20歳から加入する「国民年金」の保険料は、半分を国が負担しています。その財源は消費税なのですが、消費税が日本より高い世界の国では、すでに年金の受給開始年齢が「67歳」になり始めています。

この流れから日本の年金も、受給年齢が引き上げられる可能性は高いです。

たとえばあなたが「65歳から年金をもらえるから、65歳からは仕事をしない!」と決めたとします。ですが年金の受給年齢が70歳に引き上げられると、65〜70歳の期間は仕事もなく年金も受け取れない「無年金期間」になってしまいます。

あなたが70歳まで働き続けられれば、無年金期間を避けることができます。ですが老後にどうなるかは予想しにくく、年金がない期間も安心して生活できるよう、すぐに対策をする必要があります。

年金の仕組みについて理解しよう

ここまで、年金の現状を紹介してきました。「これからの年金はアテにならない」と何となく気づいている人は多いですが、このことがよりハッキリわかったのではないでしょうか。

ここからは、年金の仕組みを勉強しましょう。

年金は大きく分けて「公的年金(一般的にいう年金)」と「私的年金」の2つがあります。公的年金は日本に住む人が必ず加入する必要のある年金、私的年金は必要に応じて、自分で加入する年金を指します。

年金の現状がわかったところで、ここからは「年金の仕組み」を解説します。

会社員は「厚生年金+国民年金」に、自営業・パート・アルバイトなどの人は「国民年金」に加入しています。これを踏まえて、読んでみてくださいね。

公的年金の仕組み

公的年金は「国民全員が加入しないといけない年金制度」です。「国民年金」と「厚生年金」がこれにあたります。

国民年金(基礎年金)は日本に住んでいて20歳以上60歳未満なら、必ず加入が必要です。

国民年金は年金制度の土台で、「建物の1階」に例えることができます。厚生年金は国民年金の上に乗っかるので、「建物の2階」のイメージです。

国民年金に加入するのは会社員と公務員を除く、「自営業者・学生・フリーター」など。こうした人を「第1号被保険者」といいます。

ちなみに国民年金は「老齢基礎年金」と呼ぶこともあります。年金を受け取るのは年を取ってからで、老齢基礎年金という呼び方は「受け取るときの名称」です。

次に厚生年金の加入者は「会社員と公務員」で、第2号被保険者といいます。会社員や公務員は厚生年金の被保険者となると同時に、国民年金の被保険者にもなります

公務員の年金制度は以前、「共済年金」というものでした。ただ、2015年10月に、厚生年金と共済年金が統合されました。

公務員の年金制度は「3階建て」で、とても手厚いです。共済年金時代は「職域加算」という、3階部分にあたる上乗せがありました。ですが現在は職域加算が廃止され、新たに「年金払い退職給付」という上乗せが登場しました。

また、会社員や公務員の結婚相手(配偶者)で専業主婦(主夫)は、第3号被保険者となります。第3号被保険者は、保険料の負担がありません。ただ、実質的に払っているのと同じ扱いになっています。

以上が公的年金についてですが、「保険料を支払わない人は、年金を受け取る権利がない」というルールが大前提になっています。

以前は年金を受け取るために、最低でも25年以上の納付(年金の支払い)が必要でした。ただ、平成29年8月1日からは、10年以上となりました。

私的年金の仕組み

次に私的年金について解説します。もう1度、年金の全体図を見てください。

図を見ると第1号被保険者(自営業やフリーターなど)が受け取れる年金は、1階部分の国民年金(基礎年金)だけです。

第2号被保険者のうち会社員は、2階までの「国民年金+厚生年金」を、公務員は3階までの「国民年金+厚生年金+年金払い退職給付」を受け取ることができます。

つまり第1号被保険者の自営業やフリーターは公的年金だけしかないため、老後の生活に不安が生じやすいです。そのためこれらの人にも「厚生年金のような、2階部分の年金を提供しよう」ということで始まったのが、「国民年金基金」や「個人型確定拠出年金」です。個人型確定拠出年金は、「iDeco(イデコ)」という愛称でも知られています。

これらが私的年金であり、公的年金を補う役割があります。また、私的年金に加入するかどうかは、自分で選択することができます。

会社員である第2号被保険者にも、「企業年金」という私的年金があります。これが会社員にとっての3階部分です。企業年金は「従業員に対する福利厚生」として設けられていることが多く、一般的に掛け金は企業が負担しています。

企業年金には、「確定給付年金」と「確定拠出年金」というものがあります

確定給付年金は「加入者が老後に受け取る金額が、確定している年金」のことで、「厚生年金基金」がこれにあたります。

企業は資金を運用することで、従業員に支払う確定給付年金の費用を捻出しています。ですが運用が上手くいかず、会社の業績に悪影響を与える事態が多くなってきました。

そこで多くの企業は、「確定拠出年金」という企業年金に切り替えました。確定拠出年金は「掛け金が確定されている年金」のことで、運用リスクは加入者が負います。そのため積立金の不足分を、企業が穴埋めする必要はありません。

確定拠出年金の場合も、掛け金は基本的に企業が払います。ただし「マッチング拠出」といって、「加入者である従業員が企業の掛け金に、一定額を上乗せして拠出できる場合」もあります。

また、確定拠出年金は上のような「企業型」に加えて、個人で加入できる「個人型」もあります。

2017年1月から、第2号被保険者の「公務員」、第3号被保険者の「専業主婦」が新たに個人型の確定拠出年金へ加入できるようになりました。そのため公務員は、年金が4階建てになる場合もあります(国民年金+厚生年金+年金払い退職給付+個人型確定拠出年金)。

年金制度はこれまで改正が重ねられてきて、例えると「土台に下手なリフォームをどんどん付け足した家」のような状態になっています。特に2001年以降、年金制度はとても複雑になっています。

ただ、ひとまずここまで説明を理解できれば大丈夫です。「あなたがどの被保険者で、どのような制度の対象なのか」を確認してくださいね。

年金はいくらもらえるの?自分の「年金受給額」を知る!

僕も会社の給与明細を確認してみましたが、「厚生年金保険料」という欄がありました。ということは、厚生年金に加入しているということですよね。一方、自営業やパートの人は、国民年金なんですね。で、「将来のために、もっと準備しておきたい」っていうときに加入するのが私的年金なんですね。

そうそう、いい感じでわかってると思うわよ。

加入している年金がわかると、もらえる額も計算できるっていうことですかね?どうしたら年金の受け取り額はわかるんですか?

そこが気になるポイントだよね。ここから説明しますね!

年金の保険料を払っていると「将来いくら年金をもらえるのか気になる!」と思うことがありますよね。そこでここからは、「支払う年金保険料と、受け取ることができる年金の額」について解説します。

国民年金に加入している場合

まずは国民年金に加入している場合についてです。

平成17年3月まで13,300円でしたが、保険料は少しずつ引き上げられて、平成30年度の国民年金の保険料は、収入にかかわらず「16,340円」で一定です。

平成29年度における上限(満額)の老齢基礎年金額は、779,300円です。20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた場合は、65歳から、月あたり約6.5万円(779,300円÷12ヶ月)です。

【補足説明(興味があれば読んでみてください)】

仮に、平成30年度の保険料を40年間支払ったとすると、総払込保険料は7,843,200円(16,340円×480月)です。これをを受け取り年金額で割ると、「損益分岐点となる年数」が分かります。

7,915,300円÷779,300円=約10.06年

つまり受け取ってから10年経過すると、支払った保険料の元が取れる計算になります。年金を65歳から受け取り始めた場合、「75歳で支払った保険料を回収できて、それ以降は利息の受け取り」という感覚です。

また、年金を65〜100歳までの35年間で受け取る場合、総額は27,275,500円です。参考ですが、この金額は「毎月16,340円を年率5.6%で積み立てて、40年間に渡って複利運用した場合(税金・手数料は考慮せず)」と同じくらいの運用成果になります。金融商品としては、なかなかの運用利回りです。

前述しましたが国民年金(老齢基礎年金)は、あなたが保険料の半分を負担して、残り半分は国民が支払う消費税でまかなわれています。「消費税はもともと自分のお金から捻出されている」と考えた場合、実際の保険料負担は支払う保険料16,340円の倍である、32,680円です。

これで上記と同じようにシミュレーションをしてみると、年率は2.6%と半分以下の利回りになってしまいます。しかし現在の預金金利は0.01%であり、貯金に比べれば、国民年金はまだリターンの大きい金融商品といえます。

厚生年金に加入している場合

次に厚生年金についてです。国民年金の場合、保険料の半分は消費税でまかなわれていました。一方、厚生年金の場合は消費税ではなく、あなたの働く会社が保険料の半分を負担しています。

厚生年金の場合、自分の収入によって厚生年金の保険料は異なり、年金の額もそれに合わせて変わります。そのため厚生年金については、「毎月いくら」と一概に算出することができません。

基本的に「月給が多い=年金も多い」と考えて良いのですが、厚生年金の保険料は、月給の上限が62万円となっています。つまり月収62万円を超える場合、どれだけ多く保険料を支払っても、将来受け取る年金額は月収62万円の場合と変わりません。

このことをきちんと理解している人は意外に少なく、年収が多い人は年金を受け取るときに、その金額を低く感じて戸惑ってしまうのです。

自分がもらえる年金額の確認方法

公的年金をいくら受け取れるかは、人によって違います。下の表からあなたに一番近いケースを見つけて、どれくらい年金を受け取れるか確認してみましょう。

上の表は、平成28年度の公的年金を参考に計算しています。例えば会社員で年収の平均が550万円くらい(月収35万円ほど)の場合、将来受け取れる年金額は約16.1万円となります。

年金の額はこれからも減る可能性があるものの、目安を知るために上の表は有効です。

より詳しく受給額を知りたい場合は、「ねんきん定期便」をチェック

  • 「あなたがこれまで、いくらの保険料を納めてきたのか?」
  • 「将来いくら年金がもらえるのか?」

これを確認するには、日本年金機構が送ってくれる「ねんきん定期便」を確認するのも良いです。ねんきん定期便は2009年から、毎年誕生月に送られています。

ねんきん定期便は「50歳以上」と「50歳未満」で、内容が違います。「老齢年金の見込額(保険料の支払い実績に応じた年金額)」という項目が異なるからです。

50歳以上の場合、「現在加入している年金制度に、60歳まで同じ条件で加入し続ける」と仮定して、老齢年金の見込額が表示されています。

一方50歳未満の場合は、これまでの支払い実績(ねんきん定期便の年金加入記録)を元に、老齢年金の額が計算されています。

ちなみにねんきん定期便は基本的にハガキで送られてきますが、35歳・45歳・59歳は書類の入った封筒が届きます。

以下は50歳以上の人に送られる、ねんきん定期便です。

チェックするべきところは2つで、「受給資格期間」と「老齢年金の種類と見込額(1年間の受取見込額)」です。

まず、受給資格期間が「120月以上」となっているかどうかを確認しましょう。

年金を65歳から受け取るためには、60歳までに120ヶ月以上の保険料納付(支払い)が必要です。これに満たない場合、年金は1円も受け取れません。

もし納入月数が不足する場合、「過去の保険料を追納」「60歳以降も国民年金に加入する」などの対策が必要です。

これを確認したら、次に「老齢年金の種類と見込額(1年間の受取見込額)」をチェックします。この項目が、今と同じ年収・働き方を続けた場合に、65歳から受け取れる年金額です。

たとえばねんきん定期便が発行された時点で、あなたが52歳だとします。60歳まで毎年お給料が増えた場合、将来受け取る年金額は、ねんきん定期便の額より大きくなります。

一方、早期退職などでお給料が減ったり、会社員を辞めて個人事業主になったりした場合は、定期便の記載より年金額が減ります。

50歳以上のねんきん定期便は、「老齢年金の種類と見込額(1年間の受取見込額)」が4列あります。生年月日によっては60〜64歳までに年金をもらえることがあるため、複数列となっています。

かつて厚生年金は、60歳から支給されるものでした。ですが法改正により、厚生年金も65歳から支給されることになりました。ただ、急に年金の受給開始年齢が65歳に引き上げられてしまうと、「60歳から年金をもらえる」と思っていた世代は困ってしまいます。

そこで「2001年に60歳になる人」を区切りとして、厚生年金の受給開始年齢を段階的に引き上げることになったのです。

65歳より前にもらえる年金は「特別支給の老齢厚生年金」といわれ、過去に厚生年金へ1年以上加入していた場合に受け取る権利があります。

たとえば2017年4月1日に60歳の誕生日を迎えた人のねんきん定期便には、男性であれば年金受給開始年齢が62歳、65歳と記載されています。女性であれば、60歳、65歳となっています。

男性は昭和36年4月1日、女性は昭和41年4月2日生まれまでは、ねんきん定期便がこのような2段階表記になっています。

なお、ねんきん定期便には、企業年金(私的年金)である厚生年金基金や、確定拠出年金(401k)の金額は記載されません。

次に、50歳未満のねんきん定期便を紹介します。

定期便に記載されている、「受給資格期間」と「これまでの加入実績に応じた年金額と【参考】これまでの保険料納付額(累計額)」をチェックしましょう。

「受給資格期間」については、50歳以上の場合と同じです。120月以上になっていれば、年金を受け取る資格があります。

仮に35歳に受け取ったねんきん定期便で受給資格期間が10月でも、60歳までには25年あります。つまり今後300ヶ月の保険料を支払う期間があるため、120月に達することは十分できます。また、もちろんですが120月よりも数字が大きいほど、受け取る年金額は増えます。

「これまでの加入実績に応じた年金額と【参考】これまでの保険料納付額(累計額)」は、今の時点で受け取りが確定している年金です。

ここに記載された金額が少なかったとしても、落ち込む必要はありません。記載の数字は「現時点の金額」なので、少ないのはある意味当たり前です。

65歳で受け取る年金額は、自分で計算することができます。

将来的な年金の見込み額は「老齢基礎年金(国民年金)」と「老齢厚生年金」で、次のように計算することができます。算出されるのは、年間の金額です。(「2万円」や「5.481÷1000」は、見込み額を計算するための数字です。)

65歳で受け取る年金の計算方法

老齢基礎年金(国民年金):2万円×年金に加入する年数
老齢厚生年金(厚生年金):年収の見込み額×5.481÷1000×年金に加入する年数

たとえば30歳でフリーランスの人が、60歳まで国民年金に加入したとします。この場合、65歳から毎年受け取る国民年金の額は2万円×30年=60万円で、月5万円(60万円÷12ヶ月)となります。ちなみに30歳までに支払った保険料分も加算されるため、実際はもう少し増えます。

次に30歳で会社員の人が、60歳まで厚生年金に加入し続けたとします。年収の見込み額は550万円とします。

この場合、65歳から年間で受け取る老齢厚生年金の額は550万円×5.481÷1000×30年=約90万4千円となり、月あたり約7万5千円です。

簡単便利に金額を知りたい場合は、「ねんきんネット」を確認

日本年金機構の「ねんきんネット」というサービスがあります。これに登録すると、将来受け取れる年金の見込み額や最新の年金記録を、簡単にチェックできます。また、ねんきん定期便のダウンロードもできるため、定期的な年金の確認に便利ですよ。

将来の年金額を大まかに知りたい場合、「年金見込額試算」というメニューにある「かんたん試算」を使いましょう。

ねんきんネットにログイン後、ページの上部メニューにある「年金見込額試算」をクリック(スマホではタップ)します。

次のページで、「かんたん試算」をクリックします。

さらに、「試算」のボタンを押せば、今まで支払った保険料を元に年金額が計算されます。

ねんきんネットでは、より詳しく年金額を試算することもできます。さまざまな機能があるため、慣れてきたら他の機能も使ってみましょう。

年金の額を試算してみると、「年金だけでは老後の生活が成り立たない」ということがリアルにわかります。ただ、ここで不安になるだけで終わるのではなく、「老後の生活費がいくら足らないのか」を考えることが大切!これに気づくと、積立投資で作るべき金額も計算できるのです。

ねんきん定期便やねんきんネットを使えば、自分の受け取る年金額がわかるんですね。ねんきん定期便は届いてたけど、あまりチェックしてなかったです(汗)これからはしっかり確認して、将来を考えようと思います!

そうね、年金の仕組みと自分が受け取る年金の額がわかれば、これからの人生設計をしやすくなるわよ。給与明細の年金保険料の欄を見たり、ねんきん定期便やねんきんネットを眺めれば、より年金に興味がわくはずよ。

まとめ

老後の生活は「年金の受けとり」と「貯蓄の取り崩し」になります。貯めたお金は減る一方ですが、年金は亡くなるまで安定した収入です。

ですが日本の年金制度は、とても厳しい状況。年金について理解せず、今後必要なお金について考えずにいると、高齢になってから困ることになります。

そのためまずは概算でも良いので、「自分はいくら年金をもらえるのか」を知りましょう。そのための方法として、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」があります。

これから受け取れる年金は減る可能性があるため、将来に不安を感じるかもしれません。そのため自分の現状をリアルに把握して、つみたてNISAで資産形成を始めることが必要なのです。

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